理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: IP686
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循環器疾患
急性心筋梗塞における退院時アンケート調査
*安藤 美穂新屋 順子大場 美恵杉浦 さやか水越 浩道井上 喜久男高仲 知永
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抄録

【はじめに】急性心筋梗塞患者に対する心臓リハビリテーション(以下心リハ)は、システム化された包括的なチームアプローチが実施されている。当院においては心リハの施設基準を取得し、理学療法士が介入するようになり1年が経過した。そこで、今回入院中の患者に対し、心リハプログラムに関する認識や満足度などについてアンケート調査を行ったので報告する。【対象及び方法】平成14年8月から11月の間に当院循環器内科に急性心筋梗塞で入院し、心リハプログラムを終了した患者21例(男性16例、女性5例、平均年齢67.5±15歳)を対象とした。方法は就業の有無や発症前の運動習慣、病態の把握として冠危険因子等や心リハの内容に対する満足度、退院前の不安について退院時にアンケート調査を行った。また、アンケートの回答が就業の有無で相違が生じるか検討した。【結果】就業の有無:農業も含めた有職者13例(42から85歳)、無職者8例(58から84歳)であった。発症前の運動習慣の有無:有9例(有職者3/13例、無職者6/8例)、無12例であった。運動習慣の内容は、有職者はゴルフなどスポーツであり、無職者は全例毎日の散歩であった。退院後の運動継続の意志:継続する14例(有職者6/13例、無職者8/8例)であった。発症前の運動習慣を有していた全例が、退院後も継続すると回答した。また、運動習慣はなかったが、新たに退院後の運動を実施すると5例が回答した。冠危険因子の理解度:回答が得られた症例は13例(有職者10/13例、無職者3/ 8例)、わからないが8例であった。心リハの内容:満足19例、不満2例(有職者1/13例、無職者1/ 8例)であった。不満の内容は“心リハの日数が少ない”“早く歩きたい”などであった。退院後の不安:有10例(有職者7/13例、無職3/8例)、無11例であった。不安の内容は、再発の可能性や食生活、運動強度、復職についてなどであった。【考察】急性心筋梗塞の入院は治療のみならず、疾患に対する理解や退院後の生活習慣の改善を目的とした教育的側面がある。今回の調査では、入院前と比較して退院後の運動への意識の変化が見られた。ことに有職者の場合は就労など時間的な制約が多い中、今回の入院を期に運動への意識が高まったと推察される。また、病態や冠危険因子などについての認識が薄く、心リハの内容についても理解が不十分である点がみられた。退院後の不安も多岐にわたっており、有職者では復職の可能性や安全性を含め、漠然とした不安を抱えているものと思われた。今後これらの結果をふまえ、治療や教育も加味した心リハを行い、退院後の再発予防に向けての教育効果が継続されるよう、さらに検討していきたいと考える。

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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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