理学療法学Supplement
Vol.30 Suppl. No.2 (第38回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: HP160
会議情報

呼吸器疾患
PICUにおける呼吸理学療法
チーム医療としての展開
*横山 美佐子小池 朋孝上田 康久森友 和仁川上 大輔辺土名 隆芝原 美由紀川端 良治岩松 秀樹佐藤 優子遠原 真一安達 まりえ廣瀬 真純須田 久美
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抄録

【はじめに】北里大学病院PICU(Pediatric intensive care unit:小児集中治療室)は、平成14年1月に開設された。NICUにおける呼吸理学療法(以下CPT)については、研究や取り組みについて多くの報告がなされている。しかし、PICUでのCPTについては、その報告例は少ない。
私共は、PICUでのCPTをチーム医療として取り組んでいる。今回は、小児CPTチームの紹介とその活動内容、さらに具体的アプローチから科学的根拠に向かっての取り組みを報告する。
【小児CPTチーム】小児呼吸器専門医師1名。看護師(以下Ns)2名。理学療法士(以下PT)2名で構成される。対象患者の受持医・担当Ns・MEなどが加わる。
【目的】小児の呼吸器の解剖学的・生理学的特徴の理解および急性呼吸器障害を引き起こす病態の理解を深める。そして対象患者の病態を評価し、気道分泌物の除去、末梢気道の開存、均等な肺胞換気の維持・改善、人工呼吸器管理時の肺保護戦略の援助、自発呼吸の支援と呼吸運動の調整を図る。さらに、効果判定とその根拠を明確にし病態に則したCPTを患者に提供できることをめざす。
【活動内容】重症呼吸器疾患患者入院時には、チームに共通した病態の理解を図るため臨時カンファレンスを開く。PICUにおいては、新生児と相違し、気管支の平滑筋が発達しており気道径が細いため気管支攣縮には注意を要する。また、循環動態が非常に不安定なため、モニタリングは重要である。そこで、CPT適応を医師が判断し、適応症例に対しては、理学療法士を中心にCPT個別的プログラムの作成を行う。その実践は、PT・Nsで継続的アプローチを展開し、Nsサイドでは吸引回数の設定等も決定する。その効果判定は、即時的効果については、聴診及びSpO2・EtCo2を指標とし、毎日のX-Pにより評価を行う。もちろん、経時的な評価についてもチーム全体で行う。また、毎月1回、定例小児呼吸勉強会。週1回、研究日とし、肺機能検査及び理学療法手技についての効果判定(評価)。不定期に小児科・リハビリ合同勉強会の企画・運営(特に病棟スタッフに対し手技を含めたCPTの指導)を行っている。
【症例】具体的アプローチにつき、症例を通して説明する。
【問題点】1.手技についての科学的根拠がない。2.時間や回数の設定が困難である。3.年齢・病態が各症例によって異なり、人工呼吸器の設定や使用薬物に相違がある。4.そのため、手技についての効果判定が困難である。5.理学療法士はPICU専属ではない。6.手技については技術格差が大きい。
【考案】チームアプローチは、患者の病態を把握し、リスク管理の上でも重要である。今後、各症例において客観的評価を科学的根拠に基づき行い、科学的根拠に基づいたCPTの有効性について検討していく予定である。

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© 2003 by the Sience Technology Information Society of Japan
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