日本養豚研究会誌
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マメ科牧草利用による豚の飼養とその肉質
第7報 ラジノクローバーミールの品質が豚の生育に及ぼす影響
吉本 正
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1972 年 9 巻 3 号 p. 122-126

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抄録

ラジノクローバーミールの品質およびその多給が豚の生育に及ぼす影響を調べるために, 圃場において天日乾燥したものと, 火炉を併用して通風乾燥した, いわゆる人工乾草についてこれを生後3ヵ月令の子豚に与え, 2ヵ月間飼養試験を行なった。
給与飼料は, ラジノクローバーミールに近似した組成および可消化養分を持つ, 市販の基礎配合飼料を対照区に100%給与し, 天日乾草区および人工乾草区には, それぞれのミール80%と, 基礎配合飼料20%を混ぜたものを与え, その増体量を比較した。なお途中でTDNが不足して発育が停滞しがちだったので, 第4週からは, 飼料を30%増しとし, さらに第8週以降は, ばれいしょを与えてTDNの給与量を改善した。その結果は次のとおりであった。
ラジノクローバーミールは, 子豚のときからよく消化され, 下痢症にかかるものもなく, 増体効果が認められた。しかし80%という大量を養豚飼料に混合することは蛋白質は十分であるがTDNが不足となり, 正常な発育を期待することは困難であった。人工乾草と天日乾草による品質の差異については, 化学組成および推定の栄養価値は両者ともほぼ近似する数値を示していた。しかしその飼養成績では, 明らかに, 人工乾草を給与した豚の発育が終始天日乾草給与区よりもすぐれていた。このことは, 組成は近似していても, 可消化養分にば差があるものと推察された。なお, この豚を, と殺解体したときに脂肪が緑色を呈していたと言われており, 肉畜に対する緑飼料の給与限界は, 50~80%の間であると考えられる。

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