日本養豚研究会誌
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マメ科牧草利用による豚の飼養とその肉質
第6報 ラジノクローバーミール多給による肉豚の飼養とその肉質
吉本 正
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1972 年 9 巻 3 号 p. 110-121

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抄録

ラジノクローバーミールを, 肉豚の飼料として利用した場合の発育, と体成績および肉質への影響を調べるために, 対照区は, 配合飼料を給与し, 試験区には, 配合飼料を50%, ラジノクローバーミールを50%給与して, 試験を実施した。不足するTDNは, ばれいしょによって補った。
供試豚は, 生後3ヵ月の子豚6頭を用い, 1区3頭ずつとして単飼で飼育した。飼料の給与は, 1日3回, 制限給与で行なった。試験期間は, 6ヵ月とし, 飼養試験終了後24時間絶食させた後, と場においてと殺解体し, と体成績および肉質を検査した。その結果は次のとおりである。
発育については, 試験期の前半は, 試験区の方が, やや良好であったが, 後半は対照区がわずかにすぐれた増体を示した。これは, ラジノクローバーミールの持つ蛋白質, ビタミン, ミネラルが, 育成前期の子豚に有効に作用したため, および後半は, 粗繊維含量が高く, 肥育飼料としては, ややTDNが不足していたためと考えられる。
と体成績については, 絶食による体重の減少が, 試験区においてやや大きかったが, その他の数値では, 内臓総重量, 枝肉率, 骨重率, 内臓諸器官重, 背脂肪の厚さ, 赤肉と脂肪の割合, 大割肉片重, ともに両区間に差異は認められなかった。両区に共通して赤肉率が高く脂肪の少ない枝肉であった。
なおカルシウム, 骨粉は, 対照区に対し, 試験区には1/2量しか給与しなかったが骨質, 骨量は良好であった。これは, ラジノクローバーミールの持つ, カルシウム, リン, その他のミネラル, ビタミンが有効に働いたものと考える。なお, 試験区豚の毛づやが良好であったことも, ラジノクローバーミールの持つ微量要素の影響と考える。
肉および脂肪の理化学性については, 脂肪は屈折率, 融点, 沃素価を調べ, 赤肉はロース, およびハムの化学的組成, 非蛋白態窒素量, アミノ態窒素量を測定した。その結果, 試験区の沃素価および屈折率が, やや低かったが, 異状値とは考えられず, その他は, 両区間の, 分析値に大差は認められなかった。したがって, ラジノクローバーは, 肉質に悪影響をおよぼさないことが, 確認された。また, ロースの中心部の肉片をとり, 組織標本を作成して, 脂肪の混入具合を調べたが, 両区とも, 第2次筋繊維束間に, 脂肪が認められたが, 第1次筋繊維束間までは達していなかった。

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