日本養豚研究会誌
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豚の発情に関する研究
VI. 性成熟前期の豚における誘起発情徴候の検討
丸山 淳一井口 元夫宮原 強加藤 良忠
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1984 年 21 巻 2 号 p. 76-81

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抄録

性成熟前豚40頭を用いて, 卵胞ホルモンおよびPMSGを投与した誘起発情の経時的な発情状態と, 初発情豚の発情発現状態との比較検討を実施した。
卵胞ホルモンとして, 安息香酸エストラジオールを0.2mg, 0.4mgおよび0.8mg投与した。各投与量区間における腟前庭粘膜上皮細胞層の変化には差異が見られなかった。また, 安息香酸エストラジオール0.2mg, ジプロピオン酸エストラジオール5mg, エストリオール10mgおよびジエチルベストール2.5mg等の供試剤を投与した。各供試剤別の粘膜上皮細胞層の変化においては供試剤区間に差異が見られなかった。
卵胞ホルモンおよびPMSG 500IU投与による誘起発情豚と初発情豚との粘膜上皮細胞層の変化においては, 各試験区間に3日目で有意差が認められた。腟前庭粘膜上皮細胞層の厚さは, 初発情豚で発情前期開始後3日目が109.6μで最も厚く, PMSG区および卵胞ホルモン区は投与後4日目がそれぞれ98.8μおよび85.5μで最も厚かった。
外陰部の発赤の変化においては, 各区とも試験開始後3日目が最高になり, 経時的な変化でも時期間で有意差が認められた。また, 外陰部の幅の変化においては初発情豚区および卵胞ホルモン区がそれぞれ3日目が4.2cmおよび3.63cmで最大であった。PMSG区は4日目が3.57cmで最大であった。なお, 各試験区の外陰部の幅の変化において, 試験開始後4日目および5日目では差異が見られなかったが, 他の試験期間中では初発情豚区が最も大きかった。

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