日本養豚研究会誌
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高率散水ろ床法による豚舎汚水の処理性能
染井 英夫岡田 光弘
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1974 年 11 巻 3 号 p. 261-269

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抄録

ろ床容積1m3, ろ床深度3mのろ床1基, 1mのろ床2基に砕石ろ材 (花崗岩) および人工ろ材 (プラスチツク, 表面積81,344m2/m3, 空隙率65.9%) を充填し, 48年5月から49年3月にかけて豚舎汚水の連続式処理試験を実施した。
ろ床は固定散水樋から散水, 下部の通気孔から自然通気が可能な構造とした。
試験区はBOD容積負荷別に1.0~2.9kg・BOD/m3・day, 3.0~4.9kg・BOD/m3・day, 5.0kg・BOD/m3・day以上の3区を設定し, 返送水量37.98l/nuin, (54~55m3/day-返送比16.4~88.7) で連続式運転を行なった。汚水投入量を予測BOD濃度に従って調節したため必ずしも設定負荷条件を維持し得なかった。
結果は次のとおりである。
1. 散水を開始してから生物膜が肉眼的に均一な状態まで発達するのに要する期間は5月~8月にかけては約2週間, 冬期間は50日以上を要した。
2. 返送比16.4~88.7でろ床を運転した結果, BOD除去率目標を70%以上としたときに冬期を除いては4~6kg・BOD/m3・dayの負荷条件が効果的と考えられた。また夏期においては容積負荷9~10kg・BOD/m3・dayでもBOD除去率は73.7~86.3%と高い値を得た。
3. 冬期におけるBOD除去率は38.3~62.0% (4.3~6.1kg・BOD/m3・day load), 52.5~58.3% (2.8~3.5kg・BOD/m3・day load) であり, 春, 夏期に比して大幅に低下した。また窒素の除去率も低く, 30~35% (Alb-N), 4~10% (NH4-N) であり, 冬期の除去率低下が著しかった。
4. 5~8月に採取した33検体についての除去BOD (kg) 当りの汚泥生成量は0,358kg・SS/kg・BODであり, 自己酸化係数を0.05~0.1としてもその汚泥生成係数は活性汚泥法各法に比して同等乃至は若干小さいものと思われた。
5. 人工ろ材が砕石ろ材に比してBOD除去率で0.1~4.7%高く優れていた。またろ床深度別BOD除去率の比較では夏期においては, ろ床深度1mが1.9~2.3%, 冬期においてはろ床深度3mが5.8~19.0%高い値を示した。

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