日本養豚研究会誌
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豚の屠体の筋肉, 脂肪, 骨の割合について
高橋 明吉岡 勝松崎 格
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1964 年 1 巻 2 号 p. 77-82

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抄録

ランドレース種 (アメリカ系) の豚産肉能力検定のための飼料給与基準設定試験に用いた17頭の屠体 (左半丸屠体) を筋肉, 脂肪, 骨に分離して, 屠体の各形質相互の関係について相関々係を求め次の結果をえた。
1) 筋肉の割合と, ロース (背最長筋) の断面積, およびその重量, 冷屠体重に対するロースの割合等とは極めて高い相関々係があった。
2) 筋肉の割合と, 冷屠体重に対するらんじる (浅中臀筋の割面の一部) の割合とは相関々係が高いが, らんじるの面積とは相関がなかった。
3) 筋肉の割合と, 脂肪層の厚さとは負の相関々係があった。とくにコシと3部位平均の脂肪層の厚さとは高い負の相関々係があった。
4) 筋肉の割合と冷屠体重に対する内腰部の筋 (俗に内ロース, またはヒレといわれている) の割合および体重90kg時における管囲の大きさとは高い相関々係があった。
5) ロースの断面積とロースの重量, 筋肉の割合, および内腰部の筋の重量とは高い相関々係があった。
6) ロースの断面積とランジルの面積, および浅中臀筋の重量とは相関がなかった。
7) ロース (背最長筋) の重量と浅中臀筋の重量とは低い相関々係があるが, 背腰長 (II) とは相関がなかった。
8) 脂肪の構成割合は皮下脂肪が78.40%, 筋間脂肪が12.83%, 内臓脂肪が8.60%, 骨盤脂肪が0.18%である。また, 皮下脂肪の割合と筋間脂肪の割合との間には相関々係はなかった。
9) 屠体の審査得点率によってこれを良・否に分け, 屠体の筋肉, 脂肪, 骨の割合をみると, よいものは筋肉の割合が多く, 脂肪の割合は少なく, 骨の割合は多い傾向があった。
10) 豚 (屠) 体を構成している主要な12筋をカタ (5筋), ロース・バラ (2筋), ハム (5筋) に分けてみると, カタは腹鋸筋, 上腕三頭筋, ロース・バラでは背最長筋, ハムでは大腿二頭筋が大きな割合を示している。

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