反応と合成の進歩シンポジウム 発表要旨概要
第29回反応と合成の進歩シンポジウム
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ポスター発表
原子移動型ラジカルアニュレーション反応を活用するpaclitaxelの合成研究
好光 健彦*中島 秀幸篠原 由紀長岡 博人
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p. 60-61

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抄録

ラジカル反応は、有機化合物の単純な官能基化から複雑な骨格形成に至る幅広い変換において、しばしば斬新な合成手法をもたらす。本観点から我々は、有機物質の新変換を生むラジカル反応の開拓とそれを基盤とする生理活性天然物の合成研究を展開してきた。1)–3) 本シンポジウムでは、複雑な天然物の全合成に求められる官能基化された中間体の効率的創製に関わる手法として、炭素-炭素結合形成と同時にハロゲン、トリハロメチルといった機能性の高い官能基を一段階で導入できる原子移動型ラジカルアニュレーション反応に着目したpaclitaxel の全合成研究について述べたい。ジアセトン-D-グルコースから得られるジエン1を、四塩化炭素中でのラジカルアニュレーション反応に付し、2へ導いた (Scheme 1)。ついで、ハロゲン官能基の機能性を活かしたビニルクロリド誘導体3への変換を経て、3-epi-paclitaxelCD環(4)の合成を達成した。3) さらに現在、paclitaxelの全合成に向け、塩化クロム(II)を用いる2からアセチレン体7への変換とA環の導入を経てB環構築を検討している(Scheme 2)。

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© 2003 日本薬学会
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