ファルマシア
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感度と精度の向上を目指した誘導体化メタボローム分析
坂本 達弥
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2018 年 54 巻 4 号 p. 354

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抄録

近年,オミクスという分野の研究が盛んに行われている.オミクスとは生体中に存在する分子全体を網羅的に研究する学問分野であり,低分子代謝物を対象とする場合はメタボロミクスと呼ばれる.メタボロミクス研究は,その網羅性から疾患関連分子の探索や,疾患の診断マーカーの探索研究など広い分野で有用である.オミクス研究の進展には,質量分析計など分析機器の性能の向上が大きく寄与している.特に液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC/MS)は成分の分離,定性・定量を一度に行うことのできる高い汎用性から広く活用されている.LC/MSは,試料成分を様々な方法でイオン化させ,一般的にプロトン付加体として検出する.そのためプロトン化されにくい分子の検出が困難であること,他成分の共存によりイオン化の程度が変動し再現性不良を招く場合があることが問題として挙げられる.
本稿では,Shuangらにより報告された感度,精度の向上を目指した誘導体化メタボローム分析法について紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Shuang Z. et al., Anal. Chem., 89, 6758-6765(2017).
2) Sforza S. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 44, 5126-5130(2005).

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© 2018 The Pharmaceutical Society of Japan
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