ファルマシア
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オピニオン
日本薬学会会頭挨拶
日本薬学会会頭就任に際して
太田 茂
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2015 年 51 巻 4 号 p. 281

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抄録

このたび柴﨑正勝会頭の後を受けて,2015年4月より2年間日本薬学会会頭を務めさせていただくことになりました.
日本薬学会は我が国では最も古い学会の1つとして1880年に発足して以来,薬学領域における中核的学術団体としての地位を保ち続けています.このように素晴らしい実績のある学会の更なる発展のため微力ながら精一杯貢献致す所存ですので,会員の皆様方のご支援を心よりお願い申し上げます.
初代会頭である長井長義先生は,就任するにあたり「薬品を可及的速やかに人体に吸収されやすい形に変えること,生薬の有効成分を明らかにすること,化学合成技術を駆使して薬品を創製することを以て,世界に日本薬学を雄飛させよ」と会員に決意を促しておられます.長井先生のご指摘のように,私達も世界に開かれた学会として国際化を更に推進していくことが求められていると思います.また130年以上経過した現在においては,長井先生が示された研究領域に加えて医療薬学も重要な位置を占めております.これからの日本薬学会は基礎系分野,創薬や衛生系等の応用薬学分野に加え,医薬品の適正使用に関する領域も含んだ薬学を推進していくことはいうまでもありません.
今後,日本薬学会を更に発展させるための課題として4点挙げさせていただきます.
まず次世代を担う会員に対する支援についてです.伝統ある日本薬学会を次世代において更に輝かしい存在とするためには,是非必要なことであると思います.現在,柴﨑前会頭のリーダーシップのもと「長井記念薬学研究奨励事業」がスタートしております.本事業は薬学系の博士課程および博士後期課程の学生に対する支援です.本年度も継続して支援を行い,博士を取得して研究者として活躍する若手の育成をいたします.次に若手研究者についてですが,各部会においても若手会員活性化に対する取り組みはなされておりますが,将来の薬学会を担っていただく世代のニーズを反映させた学会運営を行うために,若手会員の意見を取り入れる仕組みを構築していこうと考えております.
2番目は学術誌の活性化です.日本薬学会が発刊している学術誌はChem. Pharm. Bull.,Bio. Pharm. Bull.,薬学雑誌の3誌ですが,最近投稿数の減少が認められております.この3誌の活性化は重要な課題と認識しております.会員の皆様に活用される学会誌として,更に魅力あるものとするために具体的な目標を掲げて努力していきたいと思います.
3番目は学会の国際化です.今年の年会から理事会企画として国際シンポジウムを行っておりますが,今後の年会においても英語のみで行うシンポジウムを徐々に増やしていき,海外からの参加者にも開かれた年会にしていければと考えております.
4番目は会員増強です.会員数については30歳代の企業会員の減少が認められています.当然のことですが日本薬学会は大学,研究機関,医療機関,企業,行政等幅広い会員によって支えられております.その中で企業の方々に対しても,学会の有用性を具体的に伝えられるようアピールして参る所存です.
これから2年間,皆様方のご支援どうぞよろしくお願い致します.

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© 2015 The Pharmaceutical Society of Japan
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