日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
セッションID: P-65
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ポスターセッション
新規定量アッセイ法(MRM)による大細胞神経内分泌系肺癌(LCNEC)を区別できるプロテインバイオマーカーの同定・検証
*福田 哲也野村 将春藤井 清永濱崎 裕子川村 猛比毛 浩板東 泰彦加藤 治文西村 俊秀
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抄録

MRM定量アッセイは、プロテオミクスにおける“Proof-of-Concept”の新手法として注目されている。この方法は、数十アトモルでの高感度検出を可能とし、多検体のターゲットを同時に定量解析することが出来る極めてスループットの高い測定方法である(Fig.1)。我々研究グループではMRMにより大細胞神経内分泌肺癌LCNECを区別できる新規マーカーを同定・検証したので報告する。LCNECは2004年にWHOの肺癌組織分類の改訂により、非小細胞癌の1亜型として加えられた。しかし、典型的非小細胞癌LCCと比較して予後が非常に悪い。むしろ、もともと神経内分泌系である小細胞癌SCLCとの類似性が指摘されている。現在LCNECの治療方針につき、小細胞癌か非小細胞癌かのどちらの治療方針が適切か大きな議論がなされている。しかしLCNECは生検あるいは細胞診による診断が難しいことが知られており、まずは客観的に判定できるマーカーが熱望されている。今回サンプルとしてホルマリン固定パラフィン包埋組織サンプルを用いLCNEC4検体、LCC5検体、SCLC5検体の特定癌細胞のみをLMDによって回収し、Liquid Tissue® MS prep-kitによりタンパク質を抽出した。探索的プロテオーム解析によって見出した44のマーカー候補のMSMSフラグメントスペクトルからMRMメソッドの構築を行い(Fig. 2)、MRM測定を実施した。結果、新規に20以上の変動を示すプロテインを見出したがそのうちある3種類のマーカーを組み合わせることで明確にLCNEC、LCC、SCLCを区別できることが明らかになった。また当研究グループが予後診断マーカーとして提唱しているあるプロテインはLCNEC、SCLCで有意に変動し既得データを裏付ける結果を示していた[1]。また神経内分泌系肺癌のマーカーとして既知のsecretagoginにおいてもLCNEC、SCLCにおいて特異的に変動を示していた。[1] T. Nishimura, M. Nomura, et. al. MRM Assay for Stage-related Proteins upon Non-metastatic Lung Adenocarcinoma. J. Proteome Res. (2009) Revision submitted on April 18.

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© 2009 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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