日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
セッションID: P-63
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ポスターセッション
酸化ストレス負荷におけるSH-SY5Y細胞のブルーネイティブ二次元電気泳動によるプロテオーム解析(II)
*中村 愛森澤 拓戸田 年総
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抄録

【目的】酸化ストレスは老化の一要因である。我々はドパミン代謝能を持つヒト神経芽細胞腫SH-SY5Y細胞を用いて6-hydroxydopamine(6-OHDA)による酸化ストレス負荷における蛋白質の変化の網羅的解析を行ってきた。昨年度本大会で、できるだけ生理的な条件下での蛋白質の変動を探るためblue-native 電気泳動(BN-PAGE)法の応用について報告した。今回は早老症Hutchinson-Gilford症候群の原因遺伝子LMNAの産物であるLamin A/Cの酸化ストレス負荷における挙動を中心に報告する。
【方法】SH-SY5Y細胞に6-OHDAを添加して培養し、経時的に細胞を採取した。細胞内蛋白質をBN-PAGE用のsample bufferで抽出後、BN-PAGEを行った。lamin A/Cの変化はWestern blottingにより検討した。BN-PAGEのlaneを切り取り還元SDS化し、二次元目のSDS-PAGEを行って蛋白質複合体の構成成分を分離した。それらの蛋白質スポットをインゲル消化しAXIMA-CFR質量分析計を用いてMS測定しペプチドマスフィンガープリンティングにより蛋白質を同定した。カルボニル化蛋白質はWestern blotting後のPVDF膜をジニトロフェニルヒドラジン (DNPH) 処理した後、抗DNP抗体を用いて検出した。
【結果】1-D BN-PAGE 後のWestern blotting の結果、lamin A/C抗体陽性のバンド(300kDa)は酸化ストレス負荷により増加することがわかった。2-D BN/SDS-PAGEにより、300kDa バンドの主たる蛋白質はHsp90であることが明らかになった。細胞全体のlamin A/Cの発現量の酸化ストレス負荷による変化は認められず、Hsp90結合型のlamin A/Cがストレス応答により増加することがわかった。さらにこのlamin A/Cはカルボニル化を受けていることが示唆された。

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© 2009 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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