日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第5回大会
セッションID: P2-25
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ポスター発表
血清ペプチドーム解析を目的としたサンプル調製条件の検討;ClinProtTMSystemを中心として
*梅村 啓史根津 雅彦小寺 義男佐藤 守木村 明佐子朝長 毅野村 文夫
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抄録

背景:疾患ペプチドミクスの発展とともに様々な疾患マーカー候補が報告されてきた。一方で、これらのマーカー候補の有用性を検証し、より効率的な探索を可能にするにはサンプル調製条件に統一性を持たせる事が重要と考えられている。血清ペプチドーム解析手法の中で、MALDI-TOF-MSは有力な手法の一つと考えられている。今回、MALDI-TOF-MS(ClinProtTMSystem)による疾患マーカー探索を主眼とした血清サンプル調製条件に関して詳細な検討を行った。
対象と方法:健常人(n=4)から採取した血液を用い、同時・日差再現性、血清分離までの時間、凍結方法、融解方法、凍結融解、ならびに食事のピーク検出への影響について検討した。磁気ビーズはWCX、IMAC-Cu、C8(Bruker Daltonics社)の三種類を使用し、マトリックスにはCHCA(α-cyano-4-hydroxycinnamic acid)を用いた。ビーズ処理およびAnchorChipへのスポッティングにはClinProtRobotを使用した。測定および解析にはBruker autoflexII TOF/TOF MSおよびClinProTools ver.2.0を用いた。
結果:同時再現性を3日間、各々35~43ピークの面積に関して評価したところ平均CV値は13.0±13.8%であった。日差再現性を3日間共通で得られた32ピークに関して評価したところ、平均CV値は13.7±10.9%であった。プロファイリングに最も大きく影響を及ぼした因子は遠心分離までの時間であり、既にマーカー候補として報告がなされているピークでもdrasticな変化を来たすものが認められた。凍結方法、融解方法はプロファイリングに与える影響は少なく、凍結融解は1回から4回までは大きな変化が認められなかった。食事は食前と食後3時間の間で有意差のあるピークを複数認めた。
考察:今回の結果から、血清サンプル調製におけるピットフォールとなり得る知見を得た。臨床の場において実現可能でかつバイアスの少ないサンプル調製方法を確立し、常に一定範囲内の条件でサンプル調製を行うことが、有用な疾患マーカー開発への道を拓くものと考えられる。

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© 2007 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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