主催: 日本風工学会
共催: 電気学会, 日本鋼構造協会, 土木学会, 日本気象学会, 日本建築学会
p. 49-54
本研究は,近年の沿岸部における夏季の海陸風現象について東京湾沿岸に設置したドップラーソーダにより観測した風向,風速の鉛直分布の長期間かつ高時間分解能のデータから東京湾沿岸部における夏季の風の統計的特徴及び日変化について述べる.得られた結果を以下に示す.南よりの風の時における境界層厚は約100mで,北東風の時の境界層厚は約200mであり,北東風時の方が南よりの風の時より厚い.高度100m以上では,南よりの風の時と北東風の時を比較すると,南よりの風の時は,下層の風の乱れは小さく,上層の風の乱れは大きく,いわゆる海上風の特徴を示している.風速の頻度分布について,南よりの風の範囲と北東風の範囲である時を比較すると,南よりの風の時は分散が大きく,北東風時の分散は小さく,北東風の時が南よりの風の時と比較して分布のピークは左側に偏よる分布形を示す.風速及び風向の日変化から3つの代表的な日変化が存在する.