日本繁殖生物学会 講演要旨集
第111回日本繁殖生物学会大会
セッションID: OR2-11
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性周期・妊娠
ヒト子宮内膜間質細胞の脱落膜化過程におけるPGC1Aの機能とその調節機構
*高木 遥香田村 功白蓋 雄一郎三原 由実子品川 征大前川 亮竹谷 俊明田村 博史杉野 法広
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抄録

【目的】Peroxisome proliferator-activated receptor gamma coactivator 1-α(PGC1A)はミトコンドリアエネルギー代謝や糖代謝などに関与する転写共役因子である。生殖臓器では卵巣顆粒膜細胞のステロイド生合成やエネルギー代謝への関与が知られているが,子宮内膜における機能に関しては不明である。今回,子宮内膜間質細胞(ESC)の脱落膜化におけるPGC1Aの関与について検討した。【方法】IRBの承認と患者の同意の元ESCを採取した。①子宮内膜でのPGC1Aのタンパク発現を免疫染色で調べた。②ESCをcAMPで培養し脱落膜化を誘導しPGC1A発現を調べた。siRNAを用いてPGC1Aをノックダウンし,IGFBP1とPRL発現を調べた。③cAMP刺激によるPGC1A発現調節機構を調べるため,脱落膜化に重要な転写因子であるC/EBPβに着目した。C/EBPβをノックダウンし,PGC1A発現を調べた。④ChIP アッセイでPGC1Aのエンハンサー領域へのC/EBPβの結合を調べた。⑤ルシフェラーゼアッセイによりPGC1Aのエンハンサー領域の活性を調べた。⑥PGC1Aエンハンサー領域を欠失した細胞をゲノム編集により作成し,PGC1A発現を調べた。【結果】①PGC1Aは分泌期後期で高発現であった。②cAMPによりPGC1A発現は上昇した。PGC1AのノックダウンによりcAMPで誘導されるIGFBP-1,PRL発現上昇は抑制された。③C/EBPβのノックダウンによりcAMPで誘導されるPGC1A発現は低下した。④cAMPによりC/EBPβのPGC1Aのエンハンサー領域への結合は増加した。⑤PGC1Aのエンハンサー領域の活性はcAMP刺激で増加した。⑥エンハンサー領域を欠失した細胞で,PGC1A発現は低下した。【結論】PGC1AはESC脱落膜化を調節する重要な転写因子である。C/EBPβがPGC1Aの新規エンハンサー領域に結合することでその発現を調節していることがわかった。

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