日本繁殖生物学会 講演要旨集
第106回日本繁殖生物学会大会
セッションID: P-30
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卵・受精
マウス精母細胞における減数分裂型コヒーシンの詳細な局在位置
*美 栄松田 厚志平岡 泰李 智博
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抄録

【目的】第一減数分裂前期には,三層の軸構造からなるシナプトネマ複合体が形成され,その上で相同染色体の対合や組換えが進行する。減数分裂型コヒーシンサブユニットであるRAD21LやREC8は,シナプトネマ複合体の軸構造 (axial element: AE) の形成に必須であることが示されている。しかし,どのようにこの両者が相同染色体の対合・組換えやシナプトネマ複合体の形成にかかわるか,その詳細なメカニズムや役割分担については不明である。そこで本研究では,これらのことを明らかにするために,第一減数分裂前期におけるRAD21LやREC8のシナプトネマ複合体上のより詳細な局在位置の解析を試みた。【方法】C57BL/6系統マウスの精巣を採取し,コラゲナーゼ処理などにより,細胞を分散させた。精巣由来細胞を2%パラホルムアルデヒドで固定後,RAD21LやREC8に対する抗体と,AEの構成分子であるSYCP3に対する抗体,あるいはDNA修復関連タンパク質であるRAD51やMSH4に対する抗体により,共免疫染色した。サンプルを高解像度の次世代光学顕微鏡システム (3D-SIM) で観察した。【結果】3D-SIMを用いて,対合状態の2本のAEをSYCP3のシグナルとして観察できた。RAD21LやREC8はAE上に非連続的に存在した。第一減数分裂前期のパキテン期において,2本のAE上のSYCP3間あるいは RAD21L間の距離の測定や局在を比較解析したところ,RAD21LはSYCP3と部分的に共局在するが,2本の AEのより内側に存在することが分かった。また,2本のAE間を架橋するような RAD21Lのシグナルも観察されたことから,RAD21Lは,AEの内側で相同染色体から伸びるクロマチンループを接着することにより,対合に関与すると考えられる。さらに,RAD21LやREC8,MSH4やRAD51 の二重免疫染色の解析から得られた結果について紹介し,組換えにおけるRAD21LやREC8の役割について検討する。

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© 2013 日本繁殖生物学会
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