日本農村医学会学術総会抄録集
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第60回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2C-22
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北海道厚生連における平成21年度乳がん検診成績と検診精度向上への取り組み
阿部 仁加藤 美保常田 佳江北田 紫穂丹伊田 卓岩間 寛山本 昌弘永井 信近藤 規央今村 哲理
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抄録

【緒言】乳がん検診の目的は、がんの早期発見・早期治療により乳がん死亡率を減少させることであり、マンモグラフィによる乳がん検診は広く全国的に普及している。JA北海道厚生連放射線技師会では、平成15年度より『乳がん検診の精度向上に関する委員会』を会内に設置、乳がん検診実施6施設(旭川・帯広・札幌・遠軽・網走・倶知安)に委員を配置し精度向上に向けた活動を行っている。委員会の主な活動内容は、_丸1_乳がん検診成績の報告・_丸2_マンモグラフィ検診施設認定および撮影認定技師取得の推進・_丸3_各施設における精度管理状況の把握を目的とした実態調査などである。 今回、平成21年度乳がん検診成績および検診精度向上に向けた取り組みについて報告する。
【対象および検討項目】平成21年度乳がん検診受信者数14,190名を対象とし、要精検率、精検受診率、発見乳がん数(率)、陽性反応的中度、乳がん症例に対する技師一次読影結果などについて調査した。
【結果および考察】平成21年度乳がん検診成績は、要精検率6.0%、精検受診率86.0%、発見乳がん数19例、がん発見率0.13%、陽性反応的中度2.25%であった。各施設別に見ると、要精検率の病院間におけるばらつきが大きく、要精検率の高い施設で陽性反応的中度が低い傾向にあり、施設間における検診精度格差の是正が必要と考えられた。乳がん症例に対する技師一次読影では、発見乳癌19例中、技師読影にてカテゴリー3以上で指摘できたのは、11例(61%)であるが、7例(39%)はカテゴリー2以下であり読影力の低下が懸念された。今回の結果より、乳がん検診精度のベースとなるマンモグラフィ撮影と読影技術の底上げが急務と考え、平成23年4月に当委員会が主管となり『マンモグラフィ検査読影技術』と題する分科会形式の研修を実施した。今後も検診精度向上に向けた取り組みを行い、がん発見の向上に努めたい。

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© 2011 一般社団法人 日本農村医学会
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