日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: P2-E2-1
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がん患者の化学療法時に対応する献立の検討
山田 千夏長谷川 京子伊藤 美香利浅野 有香深見 沙織加藤 里奈重村 隼人岩田 弘幸朱宮 哲明尾崎 隆男
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抄録

【はじめに】がん化学療法(以下化学療法)時における栄養管理の意義は、十分な栄養投与により患者の栄養状態を改善し、治療効果を上げることにある。しかし、化学療法中は食欲不振、味覚異常など様々な消化器症状の出現で喫食量が減少し、栄養状態の低下や体重減少を招くことも少なくない。今回化学療法中の患者の味覚や嗅覚の変化および嗜好を調査し、食欲不振時にも摂取できる化学療法食の確立に向けて検討を行った。
【対象と方法】2009年10月1日~2009年12月31日の3ヵ月間に、ある程度食事摂取ができている化学療法中の入院患者を対象に、食事アンケート調査を行った。アンケートは自己記述法とし、化学療法中の味覚や嗅覚変化の有無、料理や味付けの嗜好等について調査した。アンケートを集計分析し、その結果を基に献立作成を行った。本調査は当院治験臨床研究審査委員会の承認を得て行った。
【結果】対象者109名中102名(94%)から回答が得られた(男性:66名、女性:36名、平均年齢62.0歳±11.7歳)。化学療法中の食欲低下は66%(67/102)の患者にみられ、食欲低下理由の中で味覚の変化を訴えた患者は37%(25/67)であった。嗅覚の変化では29%(30/102)の患者が魚料理の臭いが気になると回答し、62%(63/102)の患者が温料理で臭いの感じ方が強くなると回答した。患者が食べ易いと回答した料理は、果物、果汁、麺類、寿司等であり、食べ難いと回答した料理は魚・肉料理、煮物、白飯等であった。味付けではケチャップ味は44%(45/102)の患者が食べ難いと回答した。醤油味は51%(52/102)の患者が食べ易いと回答し、食べ難いの回答は6%(6/102)であった。料理を食べ易くする為の工夫としては、ふりかけや調味料の携帯が多かった。
【まとめ】今回のアンケート調査から、化学療法中の患者は、臭いが少なく口当りのよい料理や醤油味を好むことが把握できた。今後も調査を継続し、より多くの患者に対応できる化学療法食を確立していきたい。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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