日本農村医学会学術総会抄録集
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第59回日本農村医学会学術総会
セッションID: P1-E3-5
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帝王切開術におけるカンガルーケア導入に向けた検討
田中 佳世子猪岡 靖子佐藤 かおる
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抄録

〔目的〕予定帝王切開術時小児科医師立会いの下、娩出直後の児を褥婦に抱っこしてもらい、立ち会った医療スタッフから意見や問題点を聴取し、帝王切開術におけるカンガルーケアの導入を検討する。<BR> 〔結果〕 手術室看護師からの意見として、自分の動き、役割と全体の動き・流れがわからなかった。酸素マスクや心電図電極パッドも貼付位置、モニターコード、点滴ラインの整理、離皮架の設置位置など児を抱っこするには障害物になるものがある。手術室内の配管や、術者の立ち位置などの理由から、安全で短距離になるような導線の確保をする必要がある。また、実際に児と接触する姿をみて、感動的な場面と感じる看護師が多かった。<BR> 助産師からの意見として、帝王切開術でカンガルーケアを取り入れることに肯定的であった。手術室でのカンガルーケアが児に悪影響を及ぼすことはないだろう、との意見もあった。<BR> また、助産師から手術室看護師と同様に、導線の確保の必要性、ライン類の工夫に関するアドバイスがあった。<BR> 帝王切開術に関わる医師からの意見は、母子ともに影響がない状況下でのカンガルケアは問題ないだろう、との意見が多かった。また、小児科医師からは小児科医師不在の状態でのカンガルーケアは推奨できないとの意見があった。<BR> 〔結論〕<BR> 1.麻酔科医師、産科医師、小児科医師の実施時の判断及び協力が必須である。<BR> 2.医師、助産師と共に密なコミュニケーションをとりチームとして関わっていくことが必要である。<BR> 3.手術室スタッフへカンガルーケアに関する教育が必要である。<BR> 4.産婦へのカンガルーケアについての事前の説明に関して検討する必要がある。<BR>                              5.実施症例、未実施症例を比較検討し、帝王切開術におけるカンガルーケアの有効性を調査し導入に向けていきたい。

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© 2010 一般社団法人 日本農村医学会
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