日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: P1-C305
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プリセプターを実施する卒後年数についての検討
プリセプターにアンケートを実施して
金田 さえ子
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抄録

〈はじめに〉当院はプリセプター制度を導入し,10年が
たった。近年,新卒看護師の技術習得不足が問題視され,
現場教育が重要視されている。教育委員会では,プリセプ
ター体制を見直す必要性を感じ,現状把握のためにアン
ケート調査を実施し,プリセプターを実施する卒後年数に
ついて検討したので報告する。
〈対象及び調査方法〉当院就職後3~6年の看護師で,プ
リセプター経験者40名(卒後3年目経験者35名,4年目以
上経験者5名)に,指導中困ったこと,プリセプターは卒
後何年目に実施するのが妥当と思うかについてアンケート
調査を行った。
〈結果・考察〉当院では,卒後3年目にプリセプターを実
施しているが,3年目の看護師は専門領域の知識・技術の
習得段階であることに加え,リーダーシップの獲得など過
重な課題が課せられている。日常業務を行いながらプリセ
プターとして新人の指導と精神的な支援をするには,プリ
セプター自身に余裕がなく,負担となっているのではない
かと懸念しアンケート調査を実施した。結果は,35名
(87.5%)がプリセプターを実施するのは卒後3~4年が
妥当と答えている。我々が卒後3年目では負担が大きいの
ではないかと考えたより,プリセプター自身は新人の気持
ちが分かるし,自分自身の学びにもなるので卒後3~4年
目での実施がよいと感じている。このことは,プリセプ
ター教育の効果であり,全員で新人育成に取り組む必要を
伝えたプリセプター支援体制が浸透してきた成果であると
評価する。しかし,プリセプターの意見の中で多かったの
が,勤務交替時期に対する要望である。当院では,2年前
より,2年目の後期に勤務交替を実施することとしたが,
3年目にプリセプターをするには新しい部署に自分自身が
慣れておらず,不安につながったと考える。このことは,
クリニカルラダー導入に伴いプリセプター実施は卒後3年
目と限定することがなくなるため,解決できると考える。
〈結語〉
・プリセプター経験者は,卒後3~4年目にプリセプター
を実施するのが妥当だと思っている。
・プリセプター実施は,部署での経験年数も考慮する必要
がある。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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