日本農村医学会学術総会抄録集
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第58回日本農村医学会学術総会
セッションID: 17-15
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地域在住高齢者における膝伸展筋力と歩行能力の関連
牛山 直子百瀬 公人
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抄録

高齢者の生活能力の維持のためには,起居・移乗動作能 力を維持していくことが必要である。起居・移乗動作に影 響を与える因子として下肢筋力があげられ,特に膝伸展筋 力の影響が強いとされている。また,入院中で比較的低活 動の高齢者では,膝伸展筋力と歩行能力の関連が強いと報 告されているが,ある程度筋力があり活動性の高い地域在 住の高齢者については明らかではない。そこで今回の研究 では,屋外独歩自立している地域住民を対象に,膝伸展筋 力と歩行能力の関連について明らかにすることを目的とし た。 対象は,富士見町一般高齢者運動教室の体力測定の参加 者110名(平均年齢72±5.2歳,男性10名,女性100名)で, 全ての対象者は日常生活が自立しており,屋外独歩可能で あった。測定項目は,最大等尺性膝伸展筋力,10m 歩行 時間,6分間歩行距離とした。最大等尺性膝伸展筋力は, OG 技研製筋力測定器(GT-330)を用いて左右2回ずつ 測定し,それぞれの最大値を平均した。10m 歩行時間は, 10m をできるだけ早く歩いた時の歩行時間を計測し,最 大歩行速度を算出した。6分間歩行距離は,6分間に最大 努力で歩いた距離を計測した。統計処理は,ピアソンの相 関分析を用いて,膝伸展筋力と歩行速度,膝伸展筋力と歩 行距離の相関をみた。有意水準は5%未満とした。 最大膝伸展筋力と最大歩行速度の間には,r=0.63(p< 0.01)で有意な相関がみられた。また,最大膝伸展筋力と 6分間歩行距離に間には,r=0.58(p<0.01)で有意な相 関がみられた。 この結果より,膝伸展筋力と歩行速度,歩行距離の間に は相関がみられ,地域在住の高齢者でも,諸家の報告にみ られるような,低体力者の歩行と下肢筋力の関係と同様な 傾向がみられた。地域住民の歩行能力維持のために,膝伸 展筋力維持が必要と思われる。

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© 2009 一般社団法人 日本農村医学会
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