日本農村医学会学術総会抄録集
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第55回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2E02
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一般演題
50歳以上のドック受診者における尿漏れと転倒歴の調査結果
清水 敏夫小松 淳子長沢 正樹市川 英幸
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キーワード: ドック, 尿漏れ, 転倒歴
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抄録

<はじめに>最近は、40歳・50歳代だけでなく、高齢社会を反映して、70歳・80歳代の受診者の比率が以前より高くなってきている。高齢の受診者について、ドックの内容検討の資料として、アンケートを実施したので、その結果を報告する。
<方法>高齢者にみられる問題として、尿漏れ、転倒をとりあげ、平成16年10月から12月の期間で50歳以上の一泊ドック受診者にアンケートを実施し、175名の回答を得た。
<結果>(1)尿漏れ:過去1年間に尿漏れありとしたのは、男性128名中で14名(10.9%)、女性47名中で20名(42.6%)であった。失禁例の分類では、男性では切迫性が多く、混合性が続き、腹圧性は認めない。女性では、混合性が多く、腹圧性、切迫性の順となる。(表-1・2) (2)転倒歴:転倒しそうになったことがあるとの回答は、男性で13名(10.2%)、女性で9名(19.1%)であった。(表-3)
<考察>アンケートの回答で、尿漏れ経験は、男性128名で14名(10.9%)、女性47名で20名(42.6%)であった。ガイドラインの数値を下回るものの、近い結果であった。性別・年代別にみると、男性では65歳以上で、女性では55歳以上で尿漏れの頻度が増加していた。時間を決めて排尿する「排尿習慣の再学習」は切迫性尿失禁に有効で、ある程度排尿をがまんする「膀胱訓練」は切迫性・腹圧性・混合性尿失禁に有効、「骨盤底筋訓練」は腹圧性尿失禁に有用、切迫性には有効とされている。従って、男性では排尿習慣の再学習と膀胱訓練を指導し、女性では骨盤底筋訓練と膀胱訓練の指導が必要となる。
高齢者が自立した生活を維持するためにも、転倒の予防は重要と考える。今回のアンケートで転倒しそうになったことがあるとの回答は、男性で13名(10.2%)、女性で9名(19.1%)であった。報告例に比べ、やや低い印象であるが、日頃の運動習慣がありながら、転倒しそうになったことがあることより、バランスを重視した「転倒予防運動」の指導が必要と思われる。
<結論>高齢者にとって、加齢変化や、生活習慣の蓄積に起因する問題はあるが、尿漏れや転倒予防で、適切な運動習慣は、活力のある生活をおくるためにも重要と考える。

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© 2006 一般社団法人 日本農村医学会
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