日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 2M03
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一般演題
現在の体位変換を見直して
ー体圧計を使用して現状を知るー
青木 理奈浅井 香予
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キーワード: 体位変換, 褥創予防
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抄録

【はじめに】
 高齢化社会を向かえて中山間地に位置する当院では、入院患者の多くが高齢者によって占められており、外科系病棟である当病棟においても術後一時的に寝たきり状態となる患者も多くなっている。また、栄養状態の低下や糖尿病などの基礎疾患を持っていることも多く、褥創予防のための体位変換は看護者にとって重要な業務となっている。
 褥創は、一定の場所に一定以上の圧力が加わることによって虚血性壊死が生じて発生する皮膚潰瘍であり、予防のためには効果的な体位変換が必要と言われている。しかし、体位交換の方法(使用するクッションの種類・角度)は人様々ある。そこで現状のケアを見直すため検討したので、その結果を1つのプロセスとして報告する。
【対象および方法】
対象・・当病棟に入院中の体位の異なる3名の患者を対象とした。
方法・・体圧計を使用して、以下の手順にて検討を進めるとともに当病棟の褥創発生率についても調査した。
(1)現状を知るため、除圧なし(体位変換用枕使用せず)および除圧あり(体位変換用枕使用)にて臥位・側臥位の体圧を測定した。
(2) (1)の結果を参考に、研究メンバーで体圧がうまく分散されている体位を検討した。
(3)看護者が統一した体位交換が出来るよう、患者個々の枕元に体圧計を使用して行なった体位の写真を貼付する。
【結果および考察】
 看護者が30度ルールを意識しているためか体型に関わらず、全ての数値において30mmHg以下となった。しかし、踵の除圧に対する意識が強いためか、腸骨と外果との圧の差が大きくなっている。また、当病棟の褥創発生率は背部8%、仙骨51%、下腿17%、腸骨8%、後頭部8%、踵部8%であり、仙骨での発生が半数を占めていた。病院全体としては、背部4%、仙骨44%、下肢7%、腸骨15%、後頭部2%、踵部2%、大転子7%、肩2%、臀部7%、尾骨2%、指2%となっていた。
【まとめ】
 当病棟の看護者が施行している体位交換は、30度ルールを意識して施行していることが判ったが、臥位においては体圧の差が大きいため見直しが必要であると考える。自分達が施行しているケアでは、褥創の好発部位とは異なる他の部位(背部・下腿)に褥創が多く発生していることが分かった。そこで、看護者全員が再度体位変換の知識をしっかりと身につけ、統一されたケアが患者に提供出来るよう今後も継続した研究を続けていく必要があると考えられる。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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