日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S9-4
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シンポジウム9: 心臓の頑健性・破綻の制御と毒性評価への展開
ヒトiPS 細胞技術を活用した抗がん剤心毒性の現状と今後の展望
*諫田 泰成川岸 裕幸
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抄録

近年の分子標的薬を含めた抗がん剤治療薬の開発に伴って、小児がんや成人の長期がんサバイバーが増加して、生命予後が大幅に改善された。その一方で、抗がん剤により患者の心血管障害リスクが高くなり、生命予後およびQOLに影響を与えることが明らかになってきた。特に、アントラサイクリン系抗がん剤に加え、HER2阻害剤やチロシンキナーゼ阻害剤による心筋細胞の機能的障害、器質的障害等があげられる。 そこで我々は、抗がん剤心毒性の臨床背景を踏まえて、ヒトiPS細胞技術を用いた抗がん剤心毒性の評価法を開発してきた。さらに、ミトコンドリア毒性や収縮などのメカニズムをもとに、米国HESIやFDAらと国際検証試験を実施しており、評価法の再現性や予測性などを検証している。今後、抗がん剤心毒性のリスクを予測でき、抗がん剤開発の成功率向上や患者の安全性などに貢献できることが期待される。

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