日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: S10-3
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シンポジウム10: 製薬業界におけるDXの実践~毒性研究/非臨床領域編
非臨床安全性試験へのバーチャル対照群導入について
*川口 瞬高橋 一彰山本 大
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抄録

近年の臨床領域では,希少疾患のように被験者の確保が困難な試験や倫理的観点から対照群の設定が困難な試験において,過去の臨床試験データやリアルワールドデータから作成したヒストリカルコントロールを設定した試験が行われている.一方,非臨床領域では,臨床試験と比べ対照群の設定が容易であり,ガイドラインに陰性対照群設定の必要性が明記されていることからも,施設の背景データから作成された対照群(バーチャル対照群;VCG)を設定する試みは行われていないと思われる.しかし,実験動物に対する倫理的配慮や近年の動物供給問題といった観点から,VCG導入により動物数削減に貢献することが期待される. 今回我々は,非臨床毒性試験へのVCG導入を行った際,どのような課題が発生するか検討を行った。方法として,過去に実施した反復投与毒性試験において,対照群のデータを施設背景データから作成したVCGに置き換えて,統計学的解析を再度実施し,得られた結果の解釈を行った.本発表では,その結果を紹介し,通常の対照群を設定した試験との相違点や,動物種ごとのVCG導入時の注意点について考察する。さらに,VCGを導入した際のその他の留意事項(例:病理組織学的検査などの定性的なデータの評価方法や実験条件の担保といった対照群の役割)について我々の見解を示す.また,一般毒性試験以外の試験種についてもVCG導入に伴って生じる課題について議論したい.

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© 2023 日本毒性学会
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