日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P1-107S
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学生ポスター発表賞 応募演題
ジャパニーズスタンダードアレルゲンの in vitro 皮膚感作性発現に対するP450阻害の影響
*渡辺 慎太郎佐藤 秀亮安藤 天湧寺田 智哉杉原 航平関本 征史
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抄録

【目的】本邦で臨床的に陽性患者が多く見られる代表的なアレルゲン(ジャパニーズスタンダードアレルゲン2015、JSA)の多くは、in vitro感作性が未評価であり、その感作性のメカニズムが明らかとなっていない。我々は、感作性指標としてヒト表皮角化細胞HaCaTでのNuclear factor erythroid2-related factor 2(Nrf2)の活性化に注目し、レポーターアッセイによる評価を実施したところ、22種のJSAうち半数の11種にNrf2活性化能があることを昨年の本学会で報告した。本研究では、これら化合物の感作性発現にシトクロムP450(CYP)酵素による代謝活性化の寄与について検討を行った。【方法】佐藤製薬のパッチテストパネル(22種のJSAを含む)のうち顕著なNrf2活性化能を示した9種のJSAをDMSOで抽出したもの(JSA抽出物)、および発がん性物質であり強い皮膚炎誘発能を持つBenzo[a]pyrene(BaP)を被験化合物とした。これらを、非特異的P450阻害剤であるSKF525Aで前処理したNrf2レポーター細胞(HaCaT-Nrf2-Luc)に処理し、24時間後のNrf活性化を指標としてその感作性発現に及ぼす影響を評価した。さらに、CYP1A1、CYP1B1のsiRNAを前処理し、BaPの感作性発現に及ぼす影響について検討した。【結果・考察】JSA抽出物およびBaPにおいてSKF525Aの前処理によりNrf2活性化が有意に減弱した。このことから、これら化合物の感作性発現にP450が関与することが示唆された。さらにBaPでは、CYP1A1 siRNAの処理により活性が低下する一方で、CYP1B1 siRNAの処理により活性が上昇したことから、それぞれ代謝活性化と解毒への寄与が示唆された。現在、JSA抽出物についても同様の検討を進めている。

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