日本毒性学会学術年会
第50回日本毒性学会学術年会
セッションID: P1-103S
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学生ポスター発表賞 応募演題
機械学習を用いた皮膚感作性強度予測モデルの開発と実用化に向けた検討
*木下 啓安部 賀央里山田 隆志足利 太可雄頭金 正博
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抄録

【背景・目的】

化学物質の皮膚感作性評価では、動物試験代替法を用いた評価への転換が進められている。しかし、代替法を用いた皮膚感作性の強度評価手法は、リスク評価のために重要であるものの、未だ確立されていない。当研究室では、皮膚感作性の強度の指標である、マウス局所リンパ節試験 (LLNA)のEC3値を予測する機械学習モデルの開発に取り組んでいるが、実用化にはモデルの説明性・解釈性の向上や外部検証の実施等の課題がある。本研究では、皮膚感作性強度予測モデルの実用化を目指したLLNA EC3値予測モデルの構築を行った。

【方法】

経済協力開発機構(OECD) により策定された、皮膚感作性の評価手法に関するガイドライン(No.497)において公開されたデータセットに含まれる143物質の試験情報を使用した。それらを訓練データと外部検証データに4:1の割合でランダムに分割し、勾配ブースティング決定木系のアルゴリズムであるXGBoostによる回帰モデルを構築した。目的変数は、LLNA EC3値とした。説明変数は、皮膚感作性の有害性発現経路(AOP)に関するin vitro試験結果(DPRA、KeratinoSensTM 、h-CLAT)、物性値、OECD QSAR ToolBoxから算出した分子記述子や構造アラート情報を使用した。

【結果・考察】

構築したLLNA EC3値予測モデルを用いて外部検証データの29物質の予測値を算出し、動物実験から得られたLLNA EC3値と比較したところ、決定係数が0.68であった。また、予測モデルの変数重要度を調べたところ、3種のin vitro試験結果 が上位を占めており、予測結果への寄与が大きいことが示唆された。本モデルは、説明性・解釈性を持ち、かつ外部検証による性能評価を実施した、実用的な皮膚感作性の強度予測モデルとなることが期待される。

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