日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S22-2
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シンポジウム22
医療用医薬品の毒性病理学的評価のトピック
*西村 次平
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抄録

我々の身の回りには天然物質だけでなく、環境経由により摂取する可能性がある環境汚染物質や一般化学物質、ヒトの生活を豊かにするために開発された食品添加物や農薬、ヒトの身体の構造又は機能に影響することを目的とした医薬品など、様々な物質が存在する。中でも、医薬品は、効能・効果を目的に意図的に摂取されることから、毒性試験を実施する際には、薬理作用と毒性作用とを適切に区別し、その毒性学的影響を判断する必要がある。病理組織学的検査は、その毒性判断に重要な役割を果たしており、臨床試験では行うことができない全身臓器・組織の観察を行うことで、当該医薬品の生体影響の局在と変化を明らかにすることができる。認められた毒性については、発現頻度や程度、標的部位、回復性の有無、発現機序、安全域等が総合的に検討され、さらに臨床でのモニタリングの可否、対象疾患の重篤性等も踏まえた上で、リスクに関する情報が臨床サイドに提供される。近年、医療用医薬品の領域においては、従来の低分子化合物を治療手段とする創薬以外に、抗体やペプチド等のバイオ医薬品に加え、さらには、核酸や細胞並びに再生医療等に関する医薬品の開発も活発化している。本発表では、これまでに承認申請された上記の医療用医薬品の中から、審査時に議論された懸念すべき病理組織学的変化をいくつかピックアップし、議論の内容について、紹介したい。

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