日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S21-5
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シンポジウム21
ワクチンの生殖発生毒性評価
*下村 和裕
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抄録

 ICH S5(R3)ガイドライン改定案では、「本ガイドラインは、感染症に対する予防又は治療に用いられるワクチン(アジュバントあり・なし)にも適用される」と記載されている。ワクチンのガイドラインとして、国内には「感染症予防ワクチンの非臨床試験ガイドライン(薬食審査発0527第1号、平成22年5月27日)」が存在するが、生殖発生毒性試験に関しては詳細に記載されてはいない。そのため、これまではワクチンの生殖発生毒性試験を実施する場合は、FDAガイドライン「Considerations for Developmental Toxicity Studies for Preventive and Therapeutic Vaccines for Infectious Disease Indications (2006)」およびWHOガイドライン「Guidelines on the Nonclinical Evaluation of Vaccine Adjuvants and Adjuvanted Vaccines (2014)」が参考とされてきた。

 改定案では独立した項として、4.1.3 予防用及び治療用ワクチンのための動物種選択、および5.2 ワクチンの用量設定及び試験デザイン、が設けられている。小児・高齢者用ワクチンには生殖発生毒性試験は不要とされている。動物種に関しては、ワクチンに対して免疫反応を示す動物種1種を使用し、ウサギが汎用されるとしている。ヒト以外の霊長類の使用は他に適切な動物種が選択できない場合だけに限定されている。投与は臨床適用経路で、ヒトと同一投与量の単一用量を間歇投与する。母体抗体価、胚・胎児・新生児の免疫反応の最大化を図るため、交配前の初回免疫投与を推奨するとともに、器官形成期初期に少なくとも1回の投与を行うことになっている。

 当日の発表では改定案におけるワクチンの試験方法、FDA・WHOガイドラインとの比較、ならびに具体的な試験デザイン例を紹介したい。

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