日本トキシコロジー学会学術年会
第36回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-174
会議情報

医薬品,新規化学物質と,オミクス等の安全性評価
未処理および被覆処理ナノ酸化チタンのマウス皮膚二段階発がん性試験
*土井 悠子勝呂 繭子原 智美伊藤 光古川 文夫森田 修桑原 裕史増永 卓司畠山 義朗森 福義
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抄録

【目的】酸化チタンは塗料、釉薬、顔料、光触媒などの機能材料として、また、化粧品の着色料や紫外線散乱剤として使用されている。化粧品では、分散性を高めるために表面にコーティング処理されたものが多く使用されている。今回、ナノサイズの酸化チタンに対する安全性評価の一環として、未処理品および被覆処理品について、マウス皮膚二段階発がん性試験においてプロモーション作用の有無を検討した。【方法】7週齢のICRマウス雌各群20匹にイニシエーション処理としてDMBA(7,12-Dimethylbenz[a]anthracene, 100 μg/mouse)処置し、1週後より酸化チタンの未処理品および被覆処理品をPentalanに懸濁して0、5、10、20 mg/mouseの用量で剪毛した背部皮膚に1日1回19週間塗布、陽性対照としてTPA(Phorbol 12-myristate 13-acetate, 4 μg/mouse)を週2回19週間塗布した。経時的に皮膚腫瘤数およびサイズを計測し、全ての皮膚腫瘤について病理組織学的に評価した。【結果】未処理品および被覆処理品のいずれにおいても1, 2例の皮膚腫瘤の発生(0.0~0.1個/匹)が認められたものの、対照群でも皮膚腫瘤の発生が見られており、統計学的な有意差は認められなかった。皮膚腫瘤はそのほとんどが扁平上皮過形成および扁平上皮乳頭腫であり、扁平上皮がんに進展する腫瘤は認められなかった。なお、陽性対照群では全例に皮膚腫瘤の発生(18.3および23.8個/匹)が認められた。【まとめ】マウス皮膚二段階発がん性試験法を用い、酸化チタンのマウス皮膚腫瘍発生に対する影響を検討した結果、酸化チタン未処理品および被覆処理品をマウス1匹あたり20 mgの用量で塗布しても、皮膚発がんに対するプロモーション作用は認められなかった。

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© 2009 日本毒性学会
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