日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-208
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脳神経系
コプラナーPCB胎生期暴露の情動反応におよぼす影響
*折戸 謙介白井 明志赤堀 文昭
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抄録

コプラナーPCBのひとつであるPCB126の胎生期暴露が情動反応におよぼす影響を、行動薬理学的手法を用いて明らかにした。雌性Sprague-Dawley系ラットの妊娠15日目にPCB126 30 µg/kg(PCB群)またはコーンオイル(溶媒群)を経口投与し、産まれた子ラットが4‐5週齢の時点で実験に供した。運動量は、40 lux、50 dB下に設置したオープンフィールド(OF, 45 cm x 45 cm x 深さ50 cm)を用いて立ち上がり行動およびグルーミング時間と共に20分間測定した。血漿中コルチコステロン濃度(CORT)は、両群の非ストレス動物と、水(25℃)を入れた透明アクリル製円柱水槽(直径20 cm、高さ50 cm、水深30 cm)に20分間入れることによりストレスを負荷した動物を用意し、断頭採血で得られた血漿中の濃度をRIA法で測定した。運動量はPCB群と溶媒群に差は認められなかったが、OFの中心部分に移動する割合は、PCB群で有意に減少していた。PCB群の立ち上がり回数は溶媒群に比べ有意に減少し、毛づくろい行動は有意に増加していた。CORTは、非ストレス下ではPCB群と溶媒群で差は認められなかった。一方、ストレスを負荷した場合は、両群共上昇していたが、PCB群のほうが溶媒群に比べ有意に上昇していた。運動総量やrota-rod試験では両群間で差が認められなかった。以上のことより、PCB126の胎生期暴露によりストレスに対して脆弱となることが強く示唆された。

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© 2006 日本毒性学会
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