日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-189
会議情報
試験法:in vitro・代替法
フローサイトメトリー法によるBALF中の迅速細胞分類計数について
*坂田 孝宮本 樹美代小田 康雅那須 礼史若原 恵子広瀬 泉田中 宏幸稲垣 直樹永井 博弌
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

気管支喘息などのアレルギー疾患の発症には様々な要因が考えられ、遺伝要因と環境要因とに大別される。周知のように、臨床サンプルを用いた検討では遺伝的背景あるいは病型間のバラツキなどの影響が問題となり、疾患の発症や治療標的を探索するには、より均一な条件下で検討可能な動物モデルの使用が有用である。当教室においても、種々の動物モデルを用いて抗原誘発による気道収縮反応、気管支肺胞洗浄(BALF)中の各種炎症細胞増加ならびにコリン作動性物質による気道収縮反応を指標に病態機序の解明や治療標的の探索を行ってきた。BALFを用いた各種検査は臨床研究においても重要であり、気管支喘息をはじめ種々の呼吸器疾患の病態解明・治療の効果判定のための良い指標となる。しかしながら、従来、BALF中の細胞を算定するには、サイトスピン法などで細胞を塗抹染色した後に顕微鏡で分類計数する必要があり、煩雑で時間のかかる検査法である。また、実際に成績を得るまでに実験担当者の十分なトレーニングが必要である。一方、臨床検査の分野ではフローサイトメリー法(FCM法)を用いた種々の自動末梢血液像分析装置が普及しており、これらの装置を使用することにより、短時間で信頼性の高い分類結果を得ることができる。そこで本研究では、FCM法を測定原理とする動物用多項目自動血球分析装置XT-2000iV(シスメックス社製)を用いて、アレルギー性気道炎症モデル動物のBALF中の細胞分類計数について迅速自動測定法を確立し、基本性能を検討した。その結果、好酸球比率における、対照法(サイトスピン法)とFCM法の相関はマウス(r=0.916)、ラット(r=0.959)、モルモット(r=0.965)と良好であった。再現性,直線性等の評価結果についても報告する。

著者関連情報
© 2006 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top