日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-154
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その他-2
臨床薬理試験における重篤な有害事象(第2報) _-_臨試協加盟17施設における最近6年間1865試験の調査結果_-_
*菊池 康基深澤 一郎飯島 肇門間 毅高柳 博武元 則人川辺 奈々絵藤井 宏子有沢 紀子浜田 稔河野 純田中 孝典小林 容子熊谷 雄治
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抄録

臨床試験に参加する被験者の安全性確保は、試験実施上の重要な課題である。過去に実施した臨床薬理試験(第I相試験)で発生した重篤な有害事象について、多数の医療機関を調査する事で、より安全性の高い試験の推進に有用なデータが提供されることから、臨試協では表題について定期的に調査している。第1回調査として、1993_から_1998年に実施された健康成人を対象とした臨床薬理試験の結果は、本学会第28回年会(2001)で発表した。〈BR〉今回、第2回として、1998年10月から2004年9月の6年間に、加盟17機関で実施された同種の1865試験(延べ参加被験者数47,845名)を対象に、重篤な有害事象について調査した。重篤な有害事象は33件(0.069%)で、その内訳は、投与との因果関係が否定できない事象が18件(0.038%)、因果関係が否定できる事象が15件(0.031%)であった。〈BR〉厚労省の労働災害統計における死亡及び休業4日以上の労働災害発生率0.189%(2003年度資料)と比較すると、これら発現率は一桁低い水準であった。因果関係の否定できない有害事象の発現率は、前回調査(0.01%)と比べ約4倍高かった。この理由は、1997年に施行されたGCPが普及定着して有害事象報告への対応が重視され、発生した有害事象と治験薬との因果関係の区分けに、より精度が要求されると共に、医療機関側として有害事象の取扱いに、より慎重な対応を取るようになったためと推測される。因果関係の否定できない重篤な有害事象としては、薬物の薬理作用の過剰発現に起因(4件)、ショック・アレルギー(2件)、生体反応に起因(2件)などであった。投与経路については経口投与での事象も多く認められた。なお、有害事象発現時の医療機関の対応は適切になされていた。〈BR〉臨試協としては、今後も加盟機関の管理者、医師、医療スタッフに対する教育の一層の充実を図り、臨床薬理試験における健康成人被験者の安全性確保に努めたい。

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© 2006 日本毒性学会
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