日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-140
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生殖・発生・幼若毒性
Clofibrateが幼若ラットの肝臓におよぼす影響 
*浅岡 由次板村 理央堀本 政夫堀井 郁夫
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抄録

【目的】幼若動物における酵素誘導についてのデータを収集するために,日齢の異なるラットを用いて,PPAR alpha agonistであるClofibrate(CL)によって酵素誘導処理したときの肝cytochrome P450(CYP),およびperoxisome酵素の変化について検討した。
【方法】生後12日齢,26日齢,および7.5週齢のCrl:CD(SD)雌雄ラットにそれぞれCL(150 mg/kg)4日間投与群と無処置群を設定した(12日齢:雌雄各20匹,他:雌雄各6匹)。肝臓の重量を測定した後,Microsomeおよびperoxisomeを調製し,Ethoxyresorufin O-deethylase,Methoxyresorufin O-demethylase,Testosterone 2 alpha-,7 alpha-,16 alpha-,6 beta-(T6B), 16 beta- hydroxylase,peroxisomal beta-oxidation(PBO),peroxisomal Acyl-CoA oxidase(ACO),peroxisomal catalase(CAT)活性を測定した。
【結果】CL投与によりすべての日齢の雌雄で相対肝重量が増加した。肝重量は12日齢群(約40%)の方が26日齢群(約10%)に比べて大きく増加した。CLのCYPへの影響は,12日齢群および7.5週齢群の雌雄でT6Bが上昇したことを除けば,すべての日齢でほとんど認められなかった。一方peroxisomeでは,すべての日齢で雌雄ともに無処置群と比較してPBOの上昇が認められ,12日齢群(8-10倍)の方が26日齢群(2-3倍)に比べて大きく上昇した。また,7.5週齢でみられたCLによるPBOの上昇の性差は12日齢と26日齢ではみられなかった。ACOに関してもPBOと同様な傾向が認められた。CATでは12日齢群の雌雄のみに有意な上昇がみられた。
【まとめ】以上より,幼若ラットでは7.5週齢と同様にCLによってCYPに大きな変化は起こらないが,peroxisomeの酵素が誘導されることが示され,肝重量の増加と酵素活性の上昇に相関がみられた。また7.5週齢でみられるCLによるPBOおよびACOの酵素誘導の性差は12日齢と26日齢ではほとんどみられないことが示された。

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© 2006 日本毒性学会
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