日本トキシコロジー学会学術年会
第33回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-103
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トキシコパノミクス
キャピラリー電気泳動・質量分析計(CE/MS)を用いたacetaminophen誘発ラット肝毒性に関するメタボノミクス検討
*太田 哲也山崎 真田辺 和弘諫田 克也内村 洋一中川 幸光務台 衛井上 裕章
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抄録

キャピラリー電気泳動と質量分析計を組み合せたCE/MSはイオン性の代謝物を網羅的に感度よく測定する方法としてメタボノミクスへの応用が期待されている. 演者らは,イオントラップ型質量分析計を組み合わせたCE/MSによるメタボノミクス解析系を確立した. 本解析系の有用性を確認するため,過量投与すると肝毒性を惹起するacetaminophen(APAP)をラットに投与した際の生体内代謝物の変動について検討した. 6週齢の雄ラット(Crj:CD(SD)IGS)にAPAP 300および600 mg/kgを単回経口投与し,対照群には媒体を同様に投与した. 投与6, 24および72時間後にそれぞれ血液および肝臓を採取するとともに,投与後0_から_24および48_から_72時間の間に24時間尿を採取した. 尿,血漿および肝臓について適切な前処理を行った後,CE/MSにて生体内代謝物を測定した. また,血液生化学検査を実施した. 血液生化学検査の結果,APAP群で投与24時間後にAST,ALTおよびALPの上昇した個体が認められたが,投与72時間後にはこれらの変化は認められなかった. CE/MS測定の結果,APAP群の投与24時間後の尿サンプルでAPAPの解毒に関わるグルタチオン合成経路の代謝物の減少が用量相関的に認められた他,TCAサイクルおよび酸化還元反応に関わる代謝物の変動が認められた.これら変化は投与72時間後では消失もしくは減少した.

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© 2006 日本毒性学会
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