非循環器用薬によるQT間隔延長作用に対する認識の高まりと共に,有用なin vivo QT評価系が創薬のより早い段階で求められるようになっている。モルモットはその心筋イオンチャネルが他の小動物に比べてヒトに類似していることより,in vitro評価系で乳頭筋活動電位持続時間の測定等に汎用されており, in vivo QT評価系としても関心が寄せられつつある。既に我々はテレメトリー送信機を埋め込んだモルモットを用いて,QT評価に必要な基礎データの収集,およびヒトでQT延長作用が知られている薬物によるバリデーションを実施している。近年,心電図T波のピークからエンドまでの間隔(Tp-e間隔)が,心室再分極時間の不均一性を示す良い指標であるとの報告がされている。そこで本試験では,テレメトリーモルモットでの薬剤性QTc延長時において,Tp-e間隔/QT間隔の比がどのように変化するのかを検討した。また,心室再分極時間を表すパラメータであるJTcに関しても同様に検討した。その結果,Tp-e/QT比は必ずしもQTcの変化に相関しなかったが,9種のQT延長薬物のうち2種においてはTp-e/QT比の著しい増加が見られた。JTcに関しては,QTcとほぼ並行した変化を示し,いくつかのQT延長薬物においてはQTcよりも顕著な延長が確認された。これらの解析結果は,モルモットを用いたQT評価に新たな知見を提供するものと思われた。