日本トキシコロジー学会学術年会
第32回日本トキシコロジー学会学術年会
セッションID: P-6
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一般演題(ポスター)
完全静脈栄養飼育下ラットにおける1,25(OH)2D3のカルシウム作用(用量反応性の検討)
*浅沼 健太郎小松 俊一朗桜井 貴之高井 了千葉 修一
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抄録

【目的】1,25(OH)2D3(活性型ビタミンD3)の毒性である血中カルシウム(Ca)の上昇は、主に1,25(OH)2D3による腸管からのCa吸収促進の結果と考えられているが、この現象をin vivoで直接示した報告はない。我々は、腸管からのCa吸収がない状態(食餌の経口摂取のない状態)である完全静脈栄養(TPN)飼育下のラットを用いて、そのCa作用を検討している。前回学会では、TPNラットにおける1,25(OH)2D3のCa上昇作用は、正常食ラットの50%程度であることを報告した。今回は、TPNラットにおける1,25(OH)2D3のカルシウム作用について、その用量反応性を検討した。【方法】正常食ラット(固型飼料自由摂取)及びTPN ラット(TPN施行中絶食)について、MCT(対照)及び1,25(OH)2D3(3用量)経口投与の計4群を設け、各群6例のSD系ラット(雌、10週齢)を用いた。正常食ラットでは5%D-マンニトール、TPNラットではTPN液を持続静脈内投与した。TPN施行開始後5日にMCT及び1,25(OH)2D3を投与し、8日間のTPN施行中に血清Ca濃度及び尿中Ca排泄量を測定した。【結果】対照群、1,25(OH)2D3の1、10及び100 μg/kg投与後24時間の血清Ca(各群平均値、以下同様)は、TPNラットで10.66、10.99、12.10、12.86 mg/dL、正常食ラットで10.80、11.25、12.41、14.13 mg/dLであった。1,25(OH)2D3投与群と対照群の差は、TPNラットで0.33、1.44、2.20 mg/dL、 正常食ラットで0.45、1.61、3.33 mg/dLとなった。【結論】TPNラットにおける1,25(OH)2D3のCa上昇作用は、正常食ラットの半分程度であり、その作用には用量による差が認められず、腸管からのCa吸収は一定の比率である可能性が示唆された。

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© 2005 日本毒性学会
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