平成30年の山岳遭難発生件数は2,661件であり、昨年の過去最高をさらに更新した。遭難原因は道迷いが最も多い。遭難後への施策が目立つ中で、道迷いにより遭難となる前に、自助努力によって帰還できる備えが必要である。GPS内蔵のスマートフォンやスマートウォッチなど、登山者の保有率が高い機器を活用することで山岳遭難の未然防止を実践的に行うことが可能である。登山のルートを起点から終点までGPXファイルを介してスマートフォンに事前に可視化することが必須である。登山中、ルートを逸脱した場合には、ルートと現在地のズレを視覚で確認すること以外に、警告音から聴覚として、あるいは手首からの振動として感じることなど五感を活用した実践的手法を紹介する。