主催: 日本知能情報ファジィ学会
共催: 国際ファジィシステム学会
本論文では,重み付き学習用パターンを用いたファジィ識別システムの構築手法を提案する.学習用パターンが,重要度に相当する重みを持っていると仮定し,この重みを誤識別や識別拒否の識別コストとして扱う.ファジィif-thenルールの生成において,重みを信頼度に掛けることにより,識別問題を識別コストと誤識別率の最小化問題とすることができる.従来のファジィ識別システムでは全ての学習用パターンを等しい重さを持つパターンとして扱っていたが,提案手法を用いると,大きな重みを持つパターンを小さな重みのパターンよりも重要なパターンとして扱うことができる.数値実験では様々な実世界データを用いて,従来手法と提案手法の比較を行う.実験結果より,提案手法を用いると識別コストが減少することを示す.また,識別コストの最小化問題として構築した最近傍識別器と比較し,提案手法の有効性を示す.