日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G6 宇宙化学:ダストから惑星、生命へ
エンスタタイトコンドライト(オーブライト)の宇宙線照射環境の解明
*岩元 健悟日高 洋
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p. 120-

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抄録

エンスタタイトエコンドライト(オーブライト)は、石質隕石としては長い宇宙線照射年代(20~120 Ma)を保持しており、その要因として母天体形成前に原始太陽から激しい照射を受けた成分を取り込んでいるとする説(Marti, 1969)などが考えられている。本研究では、宇宙線照射に伴って生じる中性子捕獲反応による同位体変動が期待できるSm、Erの同位体組成と、オーブライトに含まれる微小鉱物オルダマイト(CaS)に着目し、オーブライトの宇宙線照射環境について考察する。オルダマイトは水溶性であるため、選択的溶出による化学分離を行い、溶出フラクションLと残渣フラクションRに分画した。Sm及びErの同位体分析の結果から、オルダマイトを含むフラクションLは全岩やフラクションRと比較して大きく同位体変動していた。この結果はオルダマイトが母天体物質とは異なる宇宙線照射履歴を保持していることを示唆する。

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