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半減期1570万年である放射性ヨウ素-129は放射性ヨウ素の環境トレーサーとして用いられてきた。環境試料中のヨウ素-129の濃度を迅速に調べる手法の一つとして、溶液試料導入法を用いたICP質量分析計による測定法が提案されている(Ohno et al., 2013)。しかしこの手法では、127Iの水素化物イオンによる質量数129への干渉を完全には除去できず、測定の感度も十分とは言えないという問題点がある。そこで本研究では試料溶液中のヨウ素を酸化気化しICP質量分析計へ導入する(気化導入法)ことでこれらの問題点の改善を試みた。導入路に極性分子を取り除く微細膜チューブを用いた気化導入法の感度は溶液導入法より10倍以上向上した。