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本研究では、日本列島地殻の三次元化学組成モデルを構築する目的で、多数の地球化学データを統合する数理モデル構築を行った。本研究では、コンパイル及び新規分析に基づく地球化学データをもとに、ガンマ分布と呼ばれる確率密度関数を用いることで岩石種ごとの化学組成をモデル化した。この手法によって、数理的に厳密かつ再現性がある方法で多量の地球化学データを統合することができた。構築された岩種毎の化学組成モデルを地震波速度構造データと組み合わせることで、日本列島の三次元組成モデルを構築した。日本列島組成三次元モデルは、地球ニュートリノ観測値を用いた固体地球内部の放射性元素量推定の高精度化に寄与する。さらに、本手法を用いることで、岩種毎の組成の違いや組成幅の形状を新しい形で議論することが可能となることが分かった。