1953年のミラーの実験以来,強還元型模擬原始大気からは火花放電など種々のエネルギーでアミノ酸が生成することが報告されてきた。しかし現在、そのような強還元型大気は否定されている。そこで本研究では、弱還元型模擬原始地球大気(CO2, CH4, N2, H2O)に種々のエネルギーを与え、生成物中のアミノ酸などを分析した。その結果、与えるエネルギーによってアミノ酸生成の傾向が異なり、その反応機構が異なる可能性が示唆された。実際の原始地球大気では雷や紫外線をエネルギー源としたアミノ酸生成の可能性は低いと考えられるが、宇宙線であればアミノ酸前駆体が生成された可能性が高いと思われる。一方、紫外線単独では、弱還元型大気からのアミノ酸生成は困難であるが、原始地球に降り注いでいた紫外線のエネルギーフラックスは極めて高いため、紫外線と宇宙線や放電とのシナジー効果を検証する予定である。