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本研究では、1)熱変質を受けた黒色頁岩中の有機物の特徴を把握し、2)統計的手法により有機物組成と熱指標の関連性を見出すことを試みた。研究対象試料は、中新世に熱的イベントであるマグマの貫入を経験した鹿児島県甑島列島、中甑島白崎地区の露頭から採取された泥岩を用いた。岩石試料を洗浄・粉砕したのち、ソックスレー抽出器にてジクロロメタンで抽出し、のちにn-ヘキサンで溶媒置換を行い、分析試料とした。カラムクロマトグラフィーにて3画分(脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、レジン成分)に分画、各画分についてGC-MS分析により有機物の定性・定量分析を行った。定性・定量された3画分に含まれる有機物について3つの熱指標(ビトリナイト反射率温度(Sweeney and Burnhum, 1991)、ラマン炭質物温度(Koketsu et al., 2013)、熱拡散モデリング温度(Spear, 1993))との関連性を統計的手法により、熱指標を目的変数とする簡易モデルを作成した。