主催: 日本地球化学会年会要旨集
Be-7の半減期は53.3日であり、Pb-210やCs-137と比較すると格段に短いため、堆積変動の大きなデルタ堆積物におけるレーサーとしての適用が可能であると考え、アジアのメガデルタであるメコンデルタの堆積物に焦点を当て、Be-7を用いた堆積環境の解析を試みた。その結果、コアの上位30cmまではBe-7が検出され、表層の部分は堆積の盛んな雨季に堆積した若い堆積物(約200日以内に堆積した堆積物)であることが、Be-7濃度測定から明らかにされた。一方、約3ヶ月後の乾季に同地点で採取したコアでは、表層の試料でも検出限界以下であった。このことから、表層には新しい堆積物が存在しておらず、前回の調査日以降に新たな堆積物の付加がなかったか、もしくは浸食されていたことが示唆された。