日本地球化学会年会要旨集
2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
セッションID: 3E16 104-03
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大気水圏地球化学(全般)
降水中における総水銀およびメチル水銀のモニタリング手法
*丸本 幸治松山 明人
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抄録

総水銀とメチル水銀を分析対象として降水試料を採取する場合、従来の試料採取瓶にあらかじめ塩酸溶液を入れる方法では、降水中メチル水銀の動態を解明する上で重要な鍵となる有機酸、有機炭素等を同一試料から測定することができない。そこで、本研究では保存試薬を入れずに採取する方法を検討した。その結果、試料をフィルターでろ過し、4℃の状態で保存すれば、総水銀濃度およびメチル水銀濃度の90%以上が約10日間保持されることがわかった。このことから、降水試料は採取時に自然ろ過によりろ過し、4℃の状態で採取、保存することとした。また、採取期間は1週間単位とした。本手法を用いて水俣湾沿岸地域における降水中の総水銀とメチル水銀をモニタリングした。その結果、2008年9月から2009年5月までの降水中の総水銀および溶存態メチル水銀の雨量加重平均濃度はそれぞれ5.6 ng L-1(溶存態4.6 ng L-1、粒子態1.0 ng L-1)、0.087 ng L-1であり、欧米地域を中心に測定された値と同等もしくはそれ以下であった。

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© 2009 日本地球化学会
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