日本地球化学会年会要旨集
2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
セッションID: 3D18 18-05
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大気圏・水圏とそれらの相互作用、気候変化
春季黄砂時における西部北太平洋への鉱物粒子沈着フラックス
*岩本 洋子虎谷 充浩三浦 和彦津田 敦鵜野 伊津志植松 光夫
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抄録

春季黄砂時期における大気海洋同時観測から、黄砂が海洋表層の懸濁粒子組成および生物生産に与える影響を考察した。大気輸送された黄砂が海洋表層に沈着し、懸濁粒子中の陸起源鉱物粒子濃度を4-5倍に増加させたことが示された。春季に実測された黄砂現象一回あたりの海洋への溶存鉄フラックスは、北太平洋で行われた鉄散布実験に匹敵するものであり、より広大な面積に溶存鉄を供給することから、自然現象として大規模な植物プランクトンブルームを引き起す溶存鉄の突発的な供給が存在することが示された。懸濁粒子中の鉱物粒子の粒径分布から計算された混合層内における平均滞留時間では、夏季の低濃度を説明できず、鉱物粒子は移流や拡散、または粒子同士の凝集による大粒子化によって、速やかに混合層内から除去されることが示唆された。

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© 2009 日本地球化学会
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