地球には様々な物質が降り注いでおり、その中でもμmサイズの宇宙塵では衝突時の衝撃は無視でき、ほとんど分解を受けずに地上に有機物が届けられたはずである。宇宙塵は地球上での汚染の影響を考えると宇宙空間での直接捕獲が望まれる。我々は宇宙ステーション上での捕獲、暴露実験を計画しているが、本研究ではその準備として宇宙空間での暴露実験を想定した各種放射線に対するアミノ酸の安定性の評価、そしてダスト捕集材であるAGに含まれるアミノ酸ブランク分析を行い、ダスト中のアミノ酸分析の可能性の検討を行った。遊離アミノ酸への照射実験ではフェニルアラニンなどの複雑な構造のアミノ酸ほど回収率が減少する傾向が見られた。今後は宇宙塵マトリックスを模擬した鉱物を混ぜる事で回収率の変化を議論する予定である。捕獲ダスト中のアミノ酸分析に関してはα-アミノイソ酪酸、イソバリンをターゲットとし、共にfmolオーダーでの検出法を検討していく予定である。