今回、我々は酸分解と岩石融解の手法を組み合わせ、酸難溶性鉱物を含んだ珪長質標準岩石試料の迅速分解微量元素分析を試みたのでその結果を報告する。今回の分解法では岩石分解にかかる時間が約6時間と、旧来の加圧容器を用いた酸分解法や、酸分解・アルカリ融解の組み合わせ法(Awaji et al, 2006)よりも短いメリットがある。この分析法で求めたGSJの標準岩石試料JG-3はZrで149.5ppm、繰り返し測定の標準偏差の割合(RSD)が5.3%(n=18)、USGSのG-2はZrが331.9ppm、RSD3.9%(n=5)と再現性がよく、これら酸性岩に含まれる難溶性Zirconが完全に分解できていることを示している。