白亜紀に有機物に富んだ黒色頁岩がグローバルに見られる時期が存在する。この時期にナンノ化石の絶滅など,生物絶滅が一般的に観察され,海洋無酸素事変と呼ばれる。この海洋無酸素事変と大規模火成活動(LIPs)との同期が見られるために,大規模火成活動が海洋無酸素事変のトリガーになるという説が提唱されてきた。本研究では,121-125Maに活動した史上最大規模の大規模火成活動であるオントンジャワ海台火成活動の海洋環境へのインパクトを探るため,イタリアGubbioで採取された125Maの前後の堆積岩セクション試料のOs同位体比を測定した。その結果,この時期の海水のOs同位体比には2つの大きな変動が存在することが明らかになった。前者はオントンジャワ海台火成活動のプレイベント,時期の遅いものは火成活動最盛期を示すものと考えられる。